トヨタ自動車が首位奪還
毎年発表される新卒大学生からの就職先人気ランキングですが、文系と理系とではかなりランクされる企業が異なっています。
2016年度に卒業をした学生を対象にしたランキングでは、特に理系学生で大きな変動があったということが特徴です。
中でも一時はトップから陥落していた「トヨタ自動車」が首位に返り咲きを果たしていることが大きく、自動車メーカーの中でも抜きん出た存在となっていることがわかります。
2位以下の順位を見てみると、「味の素」「カゴメ」「明治グループ」といった食品メーカーが多く並んでおり、日本の産業構造が機械系からサービス系へと変化をしてきていることも伺えます。
逆に人気が軒並み落ちてきてきるのが家電系のメーカーで、トップ10にランクインしているのは第9位の三菱電機と第10位の日立製作所というのが現状です。
ただしこの二社は昨年のランクではそれぞれ第18位、第13位という順位であったことを考えると、他の家電メーカーが経営不振と伝えられる中で徐々に業績を立てなおしてきているというふうにも見ることができます。
一気に順位を上げた企業として注目なのが前年度第24位であった「キリン」と、前回第15位の「サントリーホールディングス」で、トップ10に返り咲いた実績はかなり注目されます。
今後も理系のトレンドは飲料系と薬品業界
理系学生全体の人気をみてみるとやはり目立つのは飲料系と薬品業界の上昇です。
自動車産業も根強い支持を得ているのですが、急伸中の勢いがあるということでいうと食品や薬品分野での研究分野が今度も注目を受けることになっていくのではないかと思われます。
前年度第1位を獲得したことで大きな注目を受けた「カゴメ」ですが、こちらは今年度は第3位となっておりまだまだ学生からの人気の強さを示しています。
カゴメや第5位にランクインした「資生堂」などに共通しているのが理系出身の女性からの人気が特に高かったということがあります。
女性研究者はここ10年で緩やかに上昇をしてきており、研究者全体に占める女性の割合も平成25年の時点で約14%とかなりの数字になってきています。
女性研究者の場合には比較的に身近なところにある化学について強みを発揮することも多いので、そうした技能と適性がマッチしたことで上記のような分野の企業が伸びてきたというふうに分析ができます。
大きな目で見ると、例えば宇宙工学のような応用研究の分野よりも身近な世界に使用できる基礎研究の分野の方が人気が高まってきているとういことでもあるので、今後は食品や薬品以外にも意外なところから人気の高い分野が登場してくる可能性もあります。
大学研究機関か企業の研究室か
研究職を目指す人にとってもう一つ悩みとなるのが大学などの研究専門機関に就職するか、それとも企業に就職をする会社員としての研究者になるかということです。
現在研究職に就いている人の割合で見ると企業に就職しているのは約58%、大学は約38%とされています。
その他の公的機関や非営利団体の研究室にも約5%の割合で就職をしていますが、やはりほとんどの人が企業で実際の製品開発に携わりたいというふうに考えているようです。
ただ一旦企業の研究室に入った人が後に大学院に再び入って博士号を取得し、それからポスドクなどを経てから助教~准教授になるというルートも多く取られているので、最初の就職で研究者としての将来が決定してしまうということは全くありません。